栄養学の観点からできる高血糖の対策や食事法を紹介!賢い食事で薬いらずの体をつくりましょう。
『血糖値が高い』など体の不快な症状は、悪化するまで見て見ぬふりをしてしまいがちです。
あなたの体に備わっている、病原体に対する抵抗力や自然治癒力も栄養素のサポートなしには十分なパワーを発揮できません。心のトラブルと密接な関係をもつ自律神経の働きにも食生活や体内の環境は影響を及ぼします。
最高の体調を手に入れるには、その背景にある食生活の見直しが必要です。高血糖を予防する食べ物と血糖値を下げる対策で薬いらずの体をつくりましょう。
血糖値が高いまま放っておくと、恐ろしい合併症が進行します。
高い血糖値を悪化させない栄養学の基礎知識
- 適正なエネルギー量を守る
- 3食のエネルギーを均等に配分する
- 主食・主菜・副菜をきちんととる
- 食物繊維を多く、脂肪分を少なくする
血糖値を低くする方法は?
高血糖や糖尿病の背景は欧米型食生活や運動不足
血糖値とは、血液中の中に含まれるブドウ糖濃度のことです。血糖値は食事内容や食事をした時間によって大きく変動します。
一般的に血糖値の基準となるのは、夕食後10時間以上絶食して測定したもので空腹時血糖値と呼ばれます。
また、採血の1〜2ヶ月前の血糖コントロール、状況はHbA1Cで評価します。読み方は、ヘモグロビンエーワンシーと読みます。
平成26年国民健康、栄養調査では、成人における「糖尿病が強く疑われるものの割合」が男性で15.5%、女性で9.8%であると報告されています。
糖尿病は、体内のインスリンが分泌されなくなったり、量や働きが低下してブドウ糖を体内で効率よくエネルギーに変換できなくなる病気です。
欧米化したエネルギー過多な食事や早食い、甘いものを大量に食べるという食生活は、血糖値の上昇と大きく関わっています。
適正なエネルギー量を知って、毎日の食事習慣を改善する
高血糖や糖尿病は、自覚症状が少ないからといって、生活習慣の改善をしないでいると、致死率の高いさまざまな合併症を引き起こしてしまいます。
自分の適正な摂取エネルギーを把握して食生活を改善することが最大の予防につながります。
自分の基準体重に、基礎代謝と身体活動レベルから1kg当たりに必要なエネルギーをかけた数字が1日に必要なエネルギー量です。
エネルギー量に関しての表はこの記事で紹介しています。
自分の基礎代謝エネルギー量の範囲で主食・主菜・副菜をそろえ、栄養バランスよくとることが大切です。
高血糖や糖尿病の人は、飽和脂肪酸を多く含んだ動物性脂肪のとりすぎに注意します。
肉料理は週に2〜3回にコントロールしましょう。また野菜は食事の初めに毎食必ずとりあるようにします。
とくにキノコなどの食物繊維を多く含む食品は、血糖値の上昇をゆるやかにしたり、血中コレステロール値の上昇を抑える働きがあります。
また、低エネルギーで食べ応えがあるので、食べすぎも防ぐことができます。
外食はエネルギー過多になりがちなので、できるだけ避けて自炊しましょう。やむを得ず外食する場合は、揚げ物などが入っていない主食・主菜・副菜のそろった和定食を選び、ご飯の量を半分にするなどして総カロリーを調節します。
血糖値を下げる食べ物選びのポイント
高血糖対策の主食
ビタミン・ミネラルがとれる雑穀ごはん
あわ・きび・ひえなどの雑穀にはタンパク質や脂質の他にもビタミン・ミネラルも豊富に含まれています。
ほかには食物繊維が豊富な玄米などもおすすめです。白米に雑穀を混ぜて炊くと、ビタミン・ミネラルを摂取できます。
高血糖対策の主菜
白身魚や脂質が少なめの青背魚
アジは青背魚の中でも脂質が少なめで、タンパク質が100g中に約20gもあり、必須アミノ酸をバランスよく含む食品です。
他に皮を除いた鶏肉なども脂質が少なめです。一部の海鮮食品にはコレステロール値を下げるタウリンも豊富に含まれています。
高血糖対策の副菜
食物繊維が豊富な超低エネルギー食品
こんにゃくは97%が水分で超低エネルギーです。主成分はグルコマンナンで、食物繊維の一種です。
もずくやひじきなどの海藻食品も水溶性食物繊維が多く低エネルギーで積極的にとりたい食品です。水溶性食物繊維は腸内の善玉菌の餌となる食物繊維です。
高血糖対策の食品その他
食物繊維が多く糖度の低い果物
りんごには水溶性食物繊維ペクチンが豊富に含まれています。
また皮の赤い色素アントシアニンには脂質の酸化を防ぐ効果があり、糖尿病予防にも活躍する果物です。
りんごや果実に豊富に含まれる酸っぱい成分のクエン酸やリンゴ酸は疲労回復にも効果的です。
食品交換表を使ってバランスメニューを
適量エネルギーの範囲内で、過不足なく栄養素をとるのはめんどうなものです。
これを簡単に算出できるようにしたのが『糖尿病食事療法のための食事交換表』です。
これは栄養素の似た食品を6つに分類して、各食品を1単位=80kcal相当の重量で表示したものです。
これをもとに1日のエネルギー量を朝・昼・夕に分配します。同じ食品群の中で同じ単位分をほかの食品と交換できるので、栄養バランスを崩さずに、バランスのとれた食事が無理なくできます。