宇宙について
前回の記事で宇宙が何で出来ているのか、ダークマターとは何か紹介しました。
今回は、謎だらけのダークエネルギーについて現在の研究で分かっている事を紹介します。宇宙の物質とエネルギーの総量を円グラフにするとこのようになります。
あなたや地球、太陽、チーズバーガーなどの普通の物質はこの5%中の一部です。グラフのを見てわかるように現代の物理、科学で分かっているのはたった5%です。
68%が謎のエネルギー、ダークエネルギーで出来ている
宇宙に27%あるダークマターも謎が多いが、宇宙の半分以上68%あるダークエネルギーも謎の多いエネルギーだ。科学や物理でなんでも分かった気になっていたのはたった5%だけの普通物質だけで残りはほどんど分からない。
ダークエネルギーって何?
宇宙物理学者たちは宇宙の大部分が「ダークエネルギー」で出来ていていると、考えている。
なぜこのような謎めいた名前なのか、それは宇宙をものすごいスピードで膨張させている事以外、ほとんど何も分かっていないからだ。
何も分かっていないなら、なぜ存在を見つけたか疑問が浮かんでくる。
その答えは「完全に偶然」。ある別の問題の答えを探していた学者が、たまたま見つけたのだ。その科学者は、宇宙ビックバンによる膨張がどのくらいのペースで減速しているのかを測ろうとしていた。
ところが、実は減速ではなく逆に膨張のペ速度がどんどん速くなっているのに気付いたのだ。
宇宙は爆発の最中
何かの答えを探しているうちに、宇宙の全エネルギーの68%を見つけてしまった。それがどんなに驚くべきことか理解するには、ダークエネルギー発見につながった疑問から説明しないといけない。その疑問とはこれだ。
宇宙の始まりはあったのか?宇宙は永遠に存在し続けるのか?
子供に戻ったようなワクワクする疑問だけれど、実は奥が深い。ほんの100年前まで科学者は宇宙は永遠に存在し続けるのが当たり前と思っていた。
この宇宙が毎日変化しているなんて、思いもしなかったのだ。
ところがある日、天文学者は不思議な現象に直面した。いろんな方向の恒星や銀河から飛んでくる光を計測してところ、全ての天体がお互いに遠ざかっているという結論が出たのだ。
宇宙は止まっても減速してもない。風船のように膨張していたのだ。
もし、これまで宇宙がずっと膨張し続けてきたとしたら、昔は今より小さい宇宙だったはずだ。
長い時間をさかのぼれば、宇宙はものすごく小さい点のような存在だったということになる。この説は昔、馬鹿にされていたが、現在は最も有力な「ビックバン」説である。
1931年に宇宙は膨張している事が判明した。最初の宇宙は密度の高い点でそこから外側へ広がった。その点の外側は、別の大きな空間に存在していたわけではない。その点が空間の全てだ。
ビックバン以外の理論もあるが、ビックバン以外の理論は膨張の密度を一定に保つため、常に新しい物体が作られ続けないといけない。だから現在はビックバンが有力説となっている。
宇宙に始まりがあるのなら、「終わりはあるのだろうか」という疑問がすぐ浮かんでくるだろう。この巨大な宇宙がどのように終わるんだろう?何が宇宙を終わらせるのだろう?
もし終わりがあるとしたら宇宙を終わらせる原因は、昔からよく知っている「重力」だ。ビックバンの爆発で宇宙の中身は全て外側に散らばって飛んていっているけど、重力はその反対、内側方向に働く力だ。
例えば、宇宙にある全てのものに質量が働いて、宇宙を元の大きさ(密度の高い点)に戻そうとするとか
物理学者、科学者が考えた宇宙の終わり方
- 宇宙には物質が多いから、いずれ重力の力が膨張の力より強くなり、宇宙が縮み始める。名前は「ビッククランチ」
- 宇宙には物質が少ないから、重力で膨張は止まらないで、宇宙は永遠に膨張していく。最後は無限にスカスカで温度の冷たい宇宙になる。
- 宇宙には物質がちょうどよくあるから、重力で膨張スピードは遅くなるけど宇宙はゆっくり膨張していく。スピードはゆっくり0に近づくが永遠に0にならない。
ところが事実は、この3つのどれでもなかったのだ。その答えは、
とてつもなく強力な謎のエネルギーが空間そのものを膨張させていて、宇宙はどんどんスピードを上げて大きくなっている。
これは現在の宇宙観測の結果による答えで、多くの学者が考えていた3つの答えと違ったのだ。
宇宙が膨張しているとなぜ分かるのか
宇宙の終わりなんてすごく重大な話のようだけど、実は何十億年も先の話で何も心配する事はない。それでもダークエネルギーや宇宙終焉の話は大事な問題だ。このような大きな疑問が分かれば、宇宙の仕組みがよく分かり、文明の発達に役立つからだ。
様々な疑問に挑んでいると、何か新しい発見によって日々の暮らしが変わる事だってある。
例えばあなたのスマホのGPSが正確なのはアインシュタインが「物体が光の速さで動いたらどうなるのか」と疑問に思ってくれたおかげだ。
地球でそんな事は滅多に起こらないけど、この疑問で「相対性理論」が生まれた。その「相対性理論」がなければGPSは作れない。
宇宙の最終的な終わりを知るには、今どの速度で膨張しているかを知る必要がある。そこで科学者は周りの銀河が地球からどのくらいのスピードで遠ざかり続けているかを測定した。
まず理解しておきたいのが、全ての天体が宇宙の中心から遠ざかっているのではなく全ての天体が全ての天体から遠ざかっている。宇宙の未来を知るにはこの膨張スピードがどう変化しているかが知りたい。
数十億年前よりも今の方が銀河がゆっくり遠ざかっているのだろうか?知りたいのは、時間が流れるにつれて速くなっているのだろうか?
時間経過でスピードに変化があるか検証するには、今の膨張スピードと過去の膨張スピードを比較しないといけない。
未来予測は、難しいが過去を観るのは天文学者にとってはとても簡単。
宇宙はとてつもなく大きく光の速度は一定の速度で伝わるので、遠くの天体から地球に光が届くのには長い時間がかかる。君が太陽を見ても、それは今の太陽ではない8分前に太陽が出した光が、8分かけて地球に届く。
今、君が見ている太陽は8分前の太陽なのだ。だから太陽よりもっと遠くの天体を見れば1年前や100年前の光も時間をさかのぼって観る事ができる。
遠くの星がどのくらいのスピードで遠ざかっているかは、光のスペクトルのずれ(ドップラー効果)で測ることができる。
速いスピードで遠ざかる星ほど、光が赤っぽくなるのだ。例えば、近くの暗い星と、遠くの明るい星との距離を測るにはどうしたらよいだろう?
この2つの星を望遠鏡で見ると、同じ明るさの星ように見える。でも、星にはある特別な種類の星がある事がわかった。その特別な星は宇宙のどこでも同じように大きくなり、爆発するその爆発までの時間を予測する事ができる。
正確にいうと星が縮む反動で爆発するのだけれど、その縮む勢いが激しいので結果は爆発する。
この星の爆発する星たちを1a型(イチエー型)超新星という。
このタイプの超新星はどれも同じ大きさで爆発するので距離の計測に役立つ。天文学者は1a型超新星のことを「標準光源」とよんでいる。この「標準光源」を使って膨張スピードを測った科学者チームの出した結果は宇宙の膨張スピードは最初減速していたが、50億年前から何かが膨張をどんどん加速させているのだ。
宇宙膨張を加速させているこの原動力のことを、物理学者は「ダークエネルギー」と呼んでいる。しかもものすごい強い力であらゆるものを押しやり宇宙の全ての68%をしめていると計算されている。
なぜ、普通物質とダークマター、ダークエネルギーの割合が分かるのか
正体が完全には分かっていないのになぜ割合が分かるのだろうか?
ダークマター、ダークエネルギーの割合を計測する方法が何通りかある。そして、今のところ全ての結果が全部一致しているのだ。ダークマターとダークエネルギーを正確に測るには、膨張前の赤ちゃん宇宙の写真を調べる方法だ。
この原始宇宙の写真(赤ちゃん宇宙)がどのように撮影したかは今後の記事で紹介しよう。
とりあえずその写真があってその写真は「宇宙マイクロ波背景放射」と言って下の画像のような見た目。
この写真のしわのパターンから物質やエネルギーの割合を計算すると普通の物質が5%ダークマターが27%、ダークエネルギーが68%ないと他の見た目になってしまうので成り立たない。
もう一つの方法は標準光源で膨張スピードを測る方法だ。最後は宇宙の今の構造からコンピュータシミュレーションで計算する方法、どの結果も同じ割合となっている。
ダークエネルギーとは何か?
この記事でダークエネルギーがなぜ見つかったか、どのくらいあるのか説明した。その正体はなんだろうか?
答えは、全く謎。宇宙の膨張エネルギー以外は何も分かっていない。今のところ、有力な説は空間エネルギーで空っぽの「中身のない場所」、明確にいうと「要素を含まない」となる。その空間が理由もなくエネルギーを持っていて、宇宙を押し広げている。
馬鹿な話のようだが、今のところ一番有力な説だ。量子力学でいえば、真空にエネルギーがあるのはかなり自然な発想で、大きな物体でない素粒子は物体をすり抜けるように通過したり、正確に決まった場所に存在しなかったりするからだ。
また、量子力学では空間のエネルギーから粒子がパッと現れたり消えたりもする。
量子力学は、現実の世界を別世界のように見せてくれた。そして相対性理論は絶体的な空間と時間の考えを新しいものに変えた。であれば空間エネルギーの理論もおかしくはないかもしれない。
だがこの説には1つ問題があって空っぽの空間にどのくらいのエネルギーがあるか計算すると答えが大きくなり過ぎる。ちょっと大きいレベルではなく10の60乗倍から10の100乗倍グーゴルプレックス倍(ググってみて)より大きいのだ。
宇宙の未来はどうなるのか
ダークエネルギーで宇宙の多さがものすごいスピードで膨張している。だから、あらゆる物体が今より遠ざかっているということだ、そのまま考えると何十億年後には夜空に星は数えるほどしか見えない。もっと未来の宇宙にはほとんど星はなく真っ黒になってしまう。
もちろん、膨張が止まるかもしれないし、減速するかもしれない。でも今は膨張が加速しているので、今が一番星がよく見える日なのだ。
もっと昔はたくさん見えたかもしれない。例えば140億年ほど昔に天体望遠鏡があれば簡単に分かったことも、今でわわからないのかもしれない。
人類は天体観察を始めるのに140億年も遅れてしまっているのだから。