うつ病の治療に期待(アメリカ)

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日本を含む世界中に広く自生し、200種類以上もあるとされるマジックマッシュルーム。サイケな幻覚作用をもつ楽しい不思議キノコ知られているが、それを引き起こすのはシロシビンというキノコの成分だ。

このシロシビンは大麻のように医学的メリットがいくつかある。例えば、依存症・うつ・不安神経症・PTSDといった症状の治療効果が期待されている。今回、アメリカの研究グループは、私たちのお腹の中にいる細菌の細胞にマジックマッシュルームのDNAを組み込んで、キノコと同じくらいシロシビンを作り出してしまう「幻覚性大腸菌」を誕生させたのだという。

現在この幻覚性大腸菌がうつ病などの治療に役立つことが期待されている。海外では研究が進んでいるが、日本では残念なことに意味のない法規制が邪魔をしている。

治療効果に期待がかかるシロシビン


マジックマッシュルームは幻覚作用で神秘体験を生じさせるため、一部の地域では宗教的な悟りを開く為や儀式など用いられてきたことで有名だ。Appleの創始者スティーブジョブズも神秘体験をきっかけに人生観が変わったと話している。

またシロシビンの成分は、依存症・うつ・不安神経症・PTSDといった症状の治療効果が期待されてもいる。もし、医療用として正式に認可されれば、今度はこれを安定して大量に供給するための手段が必要になる。

今回、シロシビンを大量に生産することができる細菌の作成が試みられたのはつまりそういう理由からだ。ご存じの方が多いと思うが、細菌を研究している理由はキノコは菌類、細菌類に分類されているからだ。

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高濃度の有用なシロシビンを大量生産する為に


米マイアミ大学の研究グループは、大腸菌の代謝機能を操作することで、シロシビンを生産させることに成功したとのこと。

化学・生物エンジニアリングの専門家アンドリュー・ジョーンズ教授は

マジックマッシュルームからシロシビン生産能力がコードされたDNAを抽出し、これを大腸菌に組み込んでいる

と声明の中でコメントしている。

開発された幻覚性大腸菌にはテストが行われ、温度・栄養・培地など、高濃度かつ副作用の少ないシロシビンを作り出すために最適な条件が探られた。

そして最終的に「pPsilo16」という株を選び出してバイオリアクターの中で大量生産へ向けて培養した、と『Metabolic Engineering』(9月21日掲載)で紹介されている。

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医療用シロシビンの供給も可能


ジョーンズ教授によると凄いのはその生産速度だそうで、18ヶ月の研究期間で500倍にも生産量を激増させることに成功したそうだ。

大腸菌以外の細菌にもマジックマッシュルームのDNAが組み込まれたが、これまでのところ生産量という点では大腸菌がピカイチだとのこと。

シロシビンが実際に医療に使われるようになったとしても、きちんと供給できるという確かな証拠であると研究グループは主張している。

ちなみにこうした細菌を利用した発想は新しいものではなく、抗生物質、ペニシリンやインスリンをはじめとするいくつかの治療薬は細菌の助けを借りて作り出されている。

References:Metabolic Engineering / Live science / Geek.comなど / written by hiroching / edited by usagi

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