実験室で食肉を育てるというアイデアが真剣に考慮されるようになったのは、ほんの6年前のことだ。
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実験室で食肉を育てるというアイデアが真剣に考慮されるようになったのは、ほんの6年前のことだ。
人工肉には様々なメリットがあります。例えば
動物の細胞を培養して、牛や豚の生命を奪わなくても、食肉を手にすることができる。細胞の養殖と工程は同じなので、A5ランクA6ランクの肉を作成もできる。
これまでも植物から作られた
「インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)」
や
「ビヨンド・ミート(Beyond Meet)」
といった代替肉はあった。
動物細胞を培養して作られた肉は、肉に似た味や食感の食材ではない。完全なる肉だ。
食肉に関する問題
従来の食肉には、人類の都合で多くの命を奪ってもいいのだろうかという疑問がある。また、家畜を育てる為に発生する温室効果ガスは、温暖化を進める大きな要因のひとつでもある。食肉にはこのように問題がいくつもある。
しかし、動物細胞の培養によって、牧畜に頼ることなく本物のお肉が手に入る。この分野の研究が進められているのはこのような経緯がある。
もちろん、この研究にも課題がある。それでもいくつかの有望なスタートアップは、2年以内に培養肉がスーパーの棚にお手頃価格で並ぶだろうと予測している。
国産、外国産ではなく宇宙産
今回の本題は、そんな培養肉があの国際宇宙ステーション(ISS)で作られたというニュースだ。未来の宇宙飛行士たちは、新鮮(?)な宇宙産のお肉を楽しめるようになるのだ。
イスラエルのスタートアップ「アレフ・ファームズ(Aleph Farms)」が開発した宇宙肉は、地球のウシから採取した細胞を、ウシの体内を模した栄養たっぷりの培養液が入ったバイアルの中で成長させたもの。
バイアルはロシアのソユーズMS-15で安全にISSまで運ばれたのだが、ここは重力がほとんどない空間であるために、そこから先の調理が少々違う。「3Dバイオプリンティング」という3Dプリンターで筋肉として印刷するのだ。
印刷して出来た肉は筋肉繊維や血管の食感まで再現された、本物そっくりなお肉だという。
アレフ・ファームズの培養肉 image by:aleph-farms
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少ない資源で培養できる
この生産方法は、筋肉に備わっている自然の再生能力を使用しており、従来の畜産業では必要になる資源がなくてもお肉を作ることができる。
宇宙ステーションでは備蓄できる資源やスペースに限りがあるので、こうしたことは特に重要だ。
たとえば、従来の牧畜では牛肉1キロを作るためには2万リットル近くの水が必要になる。しかし培養肉ならば、その10分の1程度で足りる。
放牧をするための広い土地だっていらないし、何より速い。数分もあれば調理可能なお肉が仕上がるために、開発チームが「ミニッツ・ステーキ」と呼んでいるくらいだ。
image by:nocamels
なおNASAは今、レタス・イチゴ・ニンジン・ジャガイモなどが収穫できる宇宙ガーデンなるものも開発中だとのこと。
もしかしたら未来のスーパーの棚には、宇宙産と印字されたラベルが貼られた肉や野菜が安く並んでいる時代になっているかもしれない。
References:bioprinting / aleph-farms / nocamels/ written by hiroching / edited by parumo