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  • 投稿カテゴリー:金融リテラシー
  • 投稿の最終変更日:2024年6月20日

マイクロ法人の節税効果が高くなる分岐点について、具体的に解説します。一般的には、個人事業主から法人化する際の節税効果は、所得が一定額を超えたときに顕著になります。その分岐点について、以下のポイントを考慮することが重要です。

所得税と法人税の比較

個人事業主の所得税率

日本の個人所得税は累進課税制度であり、所得に応じて税率が上がります。具体的な所得税率は以下の通りです(2024年時点):

  • 195万円以下: 5%
  • 195万円超〜330万円以下: 10%
  • 330万円超〜695万円以下: 20%
  • 695万円超〜900万円以下: 23%
  • 900万円超〜1,800万円以下: 33%
  • 1,800万円超〜4,000万円以下: 40%
  • 4,000万円超: 45%

これに住民税(約10%)が加わるため、最高税率は約55%になります。

法人税率

中小法人(資本金1億円以下)の法人税率は、以下の通りです:

  • 年800万円以下の所得: 15%
  • 年800万円超の所得: 23.2%

これに地方法人税や事業税が加わりますが、全体の税率は個人の最高税率よりも低いことが多いです。

分岐点の具体例

  1. 所得が900万円を超える場合:
  • 個人事業主の所得が900万円を超えると、所得税率は33%、住民税を含めると約43%になります。これに対し、法人税率は年800万円以下の部分が15%、それを超える部分が23.2%です。したがって、法人化することで税率が低く抑えられるため、節税効果が高くなります。
  1. 所得が1,800万円を超える場合:
  • 所得が1,800万円を超えると、個人事業主の所得税率は40%、住民税を含めると約50%になります。この場合、法人化による税負担軽減効果がさらに顕著になります。

具体的な計算例

個人事業主としての税負担

例えば、所得が1,000万円の場合:

  • 所得税:195万円×5% + (330万円-195万円)×10% + (695万円-330万円)×20% + (1,000万円-695万円)×23% = 50.35万円 + 13.5万円 + 73万円 + 70.15万円 = 207万円
  • 住民税:1,000万円×10% = 100万円

合計税額:207万円 + 100万円 = 307万円

法人化後の税負担

  • 法人税:800万円×15% + (1,000万円-800万円)×23.2% = 120万円 + 46.4万円 = 166.4万円
  • 法人住民税や事業税など:概算で20%として、200万円×20% = 40万円

合計税額:166.4万円 + 40万円 = 206.4万円

これに加え、法人化により役員報酬や経費をうまく活用すれば、さらに税負担を減らすことが可能です。

結論

一般的に、所得が900万円〜1,000万円を超えると、法人化による節税効果が高くなるとされています。もちろん、具体的な節税効果は個別の状況(経費の計上可能性、家族の給与など)によって異なるため、専門家と相談しながら判断することが重要です。