ボイル・シャルルの法則
ボイルの法則
ボイルは、気体の体積は圧力に反比例するという法則を発見した。
P1V1 = P2V2
(Pは圧力、Vは体積)
シャルルの法則
シャルルは、気体の体積は絶対温度に比例するという法則を発見した。
V1 / T1 = V2 / T2
(Vは体積、Tは絶対温度)
ボイル・シャルルの法則
ボイルの法則とシャルルの法則を合わせたもの。気体の体積は圧力に反比例し、絶対温度に比例する。
P1V1 / T1 = P2V2 / T2
状態方程式
状態方程式とは
ボイルの法則により、体積(V)は圧力(P)に反比例する。また、シャルルの法則により、体積(V)は絶対温度(T)に比例する。これらは、物質量(n)が一定の時のみの法則である。ボイル・シャルルの法則によれば、PV / Tは一定になる。
ボイル・シャルルの法則と、アボガドロの「気体1molは、0℃、1atmにおいて22.4Lである」との法則を合わせて、PV / Tの値を求めると、
PV / T = 1atm × 22.4L / 273K = 0.082(atm・L/K・mol)
この0.082を気体定数(R)と呼ぶ。Rは8.3J/(K・mol)と変換することもできる。上記の式はあくまで1molの場合である。2molの場合では2Rに、3molの場合では3Rになる。つまり、次の式となる。
PV / T = nR
このTを左辺に移動したものが、気体の状態方程式である。
PV = nRT
http://function-ltd.com/PoS/?p=32
なぜ0.082 atm・L = 8.3 Jなのか
1Jとは1Nの力で物質を1m移動させる仕事に相当する。よって、1J = 1 Nm(ニュートン×メートル)である。またatmとLは次のように変換できる。
1 atm = 1.013 ×105 Pa
1 L = 0.001 m3 …②
Paは1m2あたりにかかる力Nであるから、単位はN/m2に変換できる。よって次のようになる。
1 atm = 1.013 ×105 Pa = 1.013 × 105 N/m2 …①
①と②を0.082 atm・Lに代入すると
0.082 × 1.013 × 105 ×0.001 (N/m2 × m3)
= 8.3 (Nm) = 8.3 J
よって、0.082 atm・L = 8.3 Jとなる。
気体の状態方程式と分子量の求め方
分子量をMとすると、気体w(グラム)の物質量n(mol)は、n(mol) = w(g) / M(g/mol)となる。また、気体の密度d(g/L)は、d = w (g)/ V(L)である。
よってPV = nRTに代入すると、次の式が立てられる。
PV = w/M ×RT、変形するとM=wRT/PV
d=w/Vなので次のようにも変形できる。
M = dRT/P
混合気体と圧力
全圧と分圧
混合気体(色々な気体が混ざっている)が持つ全体の圧力を全圧と呼び、その中のそれぞれの気体が持つ圧力を分圧と呼ぶ。分圧は全圧にモル分率を掛けることによって求めることができる。
モル分率
混合気体の物質量に対する各成分気体の物質量をモル分率と呼ぶ。分圧を求めたい気体の物質量÷全体の物質量で求めることができる。例えば、気体Aと気体Bの混合気体があったとき、モル分率は次のように求められる(nA=気体Aのモル数、nB=気体Bのモル数)。
気体Aのモル分率 = nA / (nA + nB)
気体Bのモル分率 = nB / (nA + nB)
また、同温同圧では、物質量の比=体積の比となる。そのため、モル分率は各成分気体の体積の割合によっても求めることができる。つまり体積分率=モル分率となる。
例題①
H2(1mol)とO2(1mol)の混合気体が2molある。全体の圧力は1013hpaである。H2のみの圧力(分圧)は次の式で求められる。
全圧×モル分率=分圧
1013hpa×(1mol / 2mol) = 506.5hpa
例題②
窒素と水素の混合気体がある。窒素の分圧は400hpa、水素の分圧は600hpaである。水素のモル分率は次の式で求められる。
全圧×モル分率=分圧の式を変形すると、
分圧 / 全圧=モル分率
600hpa / 1000hpa = 0.6
ドルトンの分圧の法則
混合気体の全圧は、それぞれの気体の分圧の和に等しい、という法則。
P(全圧) = PA(気体Aの分圧) + PB(気体Bの分圧) + ・・・
例題
H2とO2の混合気体がある。それぞれの分圧は0.5atmと0.3atmである。全圧は次の式で求められる。
0.5atm + 0.3atm = 0.8atm(全圧)
水上置換と分圧
水上置換法で集めた気体は、蒸発した水が捕集瓶内に混入するため、必然的に水蒸気との混合気体となる。また、捕集瓶内の水面と水槽内の水面を一致させてから体積を測定しないと、水柱による圧力を補正し直さなければいけないので注意する必要がある。
大気圧 = 捕集した気体の分圧 + 水蒸気圧
例題①
27℃の環境で水上置換法を用いて水素を捕集した。捕集容器内の水面と、水槽内の水面を一致させてかたところで体積を測定すると100mlだった。大気圧は1000hpaであった。27℃での水蒸気圧を36hpaとすると、水素の分圧は何hpaか。
大気圧 = 水素の分圧 + 水蒸気圧
1000hpa = X + 36hpa
X = 964hpa
例題②
上記の問題で、水素の物質量は何molか。
PV = nRTを変形すると、n = PV / RTになるので、
n = (9.64×104×0.350) / ( 8.3×103×(273 + 27) ) = 0.0136 mol
大気圧 = 水素の分圧 + 水蒸気圧
1000hpa = X + 36hpa
X = 964hpa
例題②
上記の問題で、水素の物質量は何molか。
PV = nRTを変形すると、n = PV / RTになるので、
n = (9.64×104×0.350) / ( 8.3×103×(273 + 27) ) = 0.0136 mol
混合気体と平均分子量
混合気体と平均分子量
混合気体とは、様々な気体が含まれている気体である。
https://catalog.flatworldknowledge.com/b
それぞれ各成分気体の分子量にモル分率を掛け、全てを足すと混合気体の平均分子量を求めることができる。気体Aのモル数をnA、分子量をMAとし、気体Bのモル数をnB、分子量をMBとすると次の式が立てられる。
平均分子量M = MA × nA / (nA + nB) + MB × nB / (nA + nB)
モル分率
混合気体の物質量に対する各成分気体の物質量をモル分率と呼ぶ。分圧を求めたい気体の物質量÷全体の物質量で求めることができる。例えば、気体Aと気体Bの混合気体があったとき、モル分率は次のように求められる(nA=気体Aのモル数、nB=気体Bのモル数)。
- 気体Aのモル分率 = nA / (nA + nB)
- 気体Bのモル分率 = nB / (nA + nB)
また、同温同圧では、物質量の比=体積の比となる。そのため、モル分率は各成分気体の体積の割合によっても求めることができる。つまり体積分率=モル分率となる。
例題
窒素(分子量28)と酸素(分子量32)が物質量の比で3:1の混合気体の平均分子量はいくらか。
平均分子量M = 28×3/4 + 32×1/4 = 29
理想気体と実在の気体
理想気体
理想気体とは分子間力を想定していなく、分子の体積を0とした仮定した気体である。そのため、①気体を構成する分子の大きさが無視でき、②気体を構成する分子間に働く力が無視できる。このような気体においてのみ、気体の状態方程式は完全に成り立つ。
実在の気体
理想気体とは異なり、分子間力が働き、分子自身に体積があるため、気体の状態方程式は完全に成り立たない。しかし、高温・低圧の状態では分子間力、分子自身の体積の影響を無視することができ、気体の状態方程式を適応できる。これは、高温にするほど分子運動が激しくなり分子間力を無視することができるようになるためであり、また低圧にするほ分子どうしが離れるので分子間力や分子の体積を無視することができるようになるめである。
理想気体と実在の気体
理想気体においては、どんな状態であってもPV=nRTがなりたつので、PV/nRT=1となる。横軸に圧力をとり、縦軸に状態方程式PV/nRT(nは下図では省略されている)を置くと、次のグラフが完成する。Ideal gasとは理想気体のことである。それ以外の実践は実在の気体である。
理想気体においては、Pを大きくすればするほど、Vはその分減少するので(P1V1=P2V2)、PV/RTの値は一定となる。
二酸化炭素は、分子量が大きく、分子間力も大きい。そのため圧力を高くすると、やがて液化が起こり、体積Vが急激に減少する(PV/RTが小さくなる)。さらに高圧にすると、Pが大きくなり、PV/RTが徐々に増加する。
状態変化と圧力・体積
理想気体
理想気体においては、状態変化が起こらないため気体の状態で考えることができる。そのため、理想気体は次のグラフのようなふるまいをする(赤線は実在の気体のふるまい)。
実在の気体
実在の気体においては状態変化が起こる。そのため、一部分は理想気体のふるまいに当てはまるが、状態変化が起こると著しく外れることになる。下図では温度を下げると途中から、液体、固体となり、理想気体とは異なったふるまいをしているのがわかる。