中和と塩
中和
中和とは酸と塩基の反応である。酸のH+を塩基が受け取る。酸のH+と塩基のOH-が反応してH2Oになる場合が多いが、例外もある。
![中和](https://i1.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/3/2/329e54f3.jpg?resize=480,105)
![中和](https://i0.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/0/1/0149605c.jpg?resize=294,68)
塩(えん)
酸の陰イオンと、塩基の陽イオンがイオン結合した物質を塩と呼ぶ。大抵のイオン結合性物質は中和によって生じた塩である。
塩の種類
中和反応しても、塩の中にHが残っていたり、OHが残る場合もある。そのような塩には以下の名前がついている。しかし、それらは酸性・中性・塩基性を示すものではないので混乱に注意。
正塩:HもOHも残っていない
NaCl、KNO3
酸性塩:Hが残っている
NaHSO4、NaHCO3
塩基性塩:OHが残っている
MgCl(OH)、CuCl(OH)
酸化物と塩
酸化物
酸化物とはその名の通り、酸素と結合した物質である。酸化物の中には、塩基と反応するものや、酸と反応もするもの、酸塩基両方と反応するものなどがある。
酸性酸化物
非金属元素の酸化物である
CO2、NO2、P4O10、SO2、SO3
水と反応して酸となる
![炭酸](https://i2.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/e/0/e0d824e3.gif?resize=178,33)
塩基と反応して塩を生成する
![CO2BaOH2](https://i0.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/4/c/4caf18c1.gif?resize=288,23)
塩基性酸化物
金属元素の酸化物である
水と反応して塩基となる
![塩基性酸化物](https://i2.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/d/9/d9e54051.jpg?resize=330,59)
酸と反応して塩を生成する
![塩基性酸化物](https://i2.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/6/2/6257a11a.jpg?resize=472,87)
両性酸化物
両性元素(Zn、Al、Sn、Pb) の酸化物である
Al2O3、ZnO
酸と塩基の両方と反応し、塩を生成する
酸性酸化物と塩基性酸化物の塩
酸性酸化物と塩基性酸化物は反応し、塩を生じる。
![塩基性酸化物+酸性酸化物](https://i1.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/2/7/278a7ce9.jpg?resize=296,105)
オキソ酸
オキソ酸とは
酸の分子内に酸素Oを含むものをオキソ酸と呼ぶ。
硫酸 H2SO4
亜硫酸 H2SO3
硝酸 HNO3
炭酸 H2CO3
リン酸 H3PO4
オキソ酸は酸性酸化物が水と反応すると生成される。
![炭酸](https://i2.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/e/0/e0d824e3.gif?resize=178,33)
オキソ酸の強さ
同じ元素で構成されている酸は、Oの数が多ければ多いほど酸性が強くなる。
硫黄のオキソ酸
H2SO4 > H2SO3
塩素のオキソ酸
HClO4 > HClO3 > HClO2 > HClO
水酸化物
水酸化物とは
金属イオンと水酸化物イオンOH-がイオン結合した物質を水酸化物と呼ぶ。
水酸化ナトリウム NaOH
水酸化カリウム KOH
水酸化リチウム LiOH
水酸化マグネシウム Mg(OH)2
水酸化カルシウム Ca(OH)2
水酸化バリウム Ba(OH)2
塩基性酸化物と水を反応させると生成できる。
![塩基性酸化物](https://i2.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/d/9/d9e54051.jpg?resize=330,59)
両性水酸化物
両性元素(Zn、Al、Sn、Pb)のイオンと水酸化物イオンOH-がイオン結合した物質を両性水酸化物(Al(OH)3、Zn(OH)2など)お呼ぶ。両性水酸化物は酸とも塩基とも反応する。
相手が酸の時
相手が塩基の時
塩の水溶液の液性
塩(えん)の水溶液
塩は酸と塩基の中和反応によって生成されたものである。中和反応を経たのであるから、その塩は中性であると勘違いし易いが、実際はそうではない。強酸・弱酸、強塩基・弱塩基の組み合わせの違いによって液性も変化する。
強い方の液性が出る。
- 弱酸と強塩基の塩:塩基性
- 強酸と弱塩基の塩:酸性
- 強酸と強塩基の塩:中性
- 弱酸と弱塩基の塩:中性
塩の加水分解
塩の水溶液が必ずしも中性でないのは、塩が水と反応(加水分解)してしまうことによる。
弱酸と強塩基の塩
例えば、酢酸CH3COOHとNaOHの反応では、CH3COONaが生成される。
CH3COONaは、水溶液中ではCH3COO-とNa+に電離している。酢酸は元々弱酸であるため、電離度が低く、イオンの状態でいるよりはCH3COOHの状態でいた方が居心地が良い。そのため、水と反応して、一部がCH3COOHに戻る。
![塩の加水分解](https://i1.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/0/b/0b7cffad.png?resize=358,19)
![塩の加水分解2](https://i2.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/e/5/e5564174.png?resize=448,31)
その結果、水溶液中にOH-の割合が若干増え、水溶液は塩基性となる。
強酸と弱塩基の塩
上記の反応とは逆に、塩基由来のイオンが水と反応する。その結果、水溶液中にH+が増え、水溶液は酸性になる。
強酸と強塩基の塩
水との反応は起こらない。そのため水溶液は中性となる。
弱酸と弱塩基の塩
酸由来のイオンと、塩基由来のイオンが水と反応する。H+、OH-どちらも増えるため水溶液は中性となる。
酸性塩の液性
塩の一部にHが残っているものを酸性塩と呼ぶ。酸性塩の中には、水溶液が酸性になるものもあれば、塩基性になるものもある。
硫酸水素塩
液性は酸性になる。
HSO4 ⇔ H+ + SO42-
炭酸水素塩
液性は塩基性になる。
HCO3– + H2O ⇔ H2CO3 + OH-
弱酸・弱塩基の遊離
弱酸(弱塩基)の遊離
弱酸由来の塩に強酸を加えると、弱酸が遊離する反応が起こる。
CH3COONa + HCl → NaCl + CH3COOH
弱酸は電離度が低いため、イオンの状態よりも分子の状態を好む。一方、強酸はイオンの状態を好む。そのため、強酸のH+は弱酸由来のイオン(CH3COO-)に奪われる。弱塩基に強塩基を加えても同様の反応が起こる。
![弱酸の遊離](https://i2.wp.com/livedoor.blogimg.jp/crazybio-99999/imgs/7/d/7d426043.gif?resize=329,170)
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揮発性の酸の遊離
揮発性とは蒸発のしやすさという意味である。揮発性の酸由来の塩に、不揮発性の酸を加えると、不揮発性の酸由来の塩を形成し、より安定しようとする。その結果、揮発性の酸は遊離する。
NaCl(揮発性酸の塩) + H2SO4(不揮発性酸) → NaHSO4 +HCl
NaCl(揮発性酸の塩) + H2SO4(不揮発性酸) → NaHSO4 +HCl