状態変化と熱量
状態変化
三態の変化にはそれぞれ名前が付けられている。
- 気体→(凝縮)→液体→(凝固)→固体
- 気体←(蒸発)←液体←(融解)←固体
- 気体←(昇華)←固体
- 気体→(昇華)→固体
状態変化と熱量
状態変化には熱の移動が伴う。
融解熱
ある物質が1mol融解するのに必要な熱量。水の場合は6kJ/molである。
蒸発熱
ある物質が1mol蒸発するのに必要な熱量。水の場合は41kJ/molである。
熱量
物質ごとに1℃(Kでも良い)上昇するために必要なエネルギー(熱量)は測定されており、それを比熱と呼ぶ。ある物質の質量mグラムに熱量を加えて、t℃(Kでも良い)上昇した際m熱量は次の式で求めることができる。
Q = mct
Q(熱量J) = m(質量g)×c(比熱J/(g・k))×t(変化した温度k)
熱い量はまことで覚えると良い。
気体の圧力
気体の圧力
気体分子が衝突して周囲に圧力をもたらす。分子数が多いほど圧力は高くなり、高温になればなるほど分子運動が盛んになり、圧力が高くなる。
水銀柱
圧力は水銀柱の高さによって測ることができる。大気圧1013hpaでは、水銀柱は760mmになる。
つまり、水銀柱の高さh(mm)を用いて以下のような式が立てられる。
大気圧(hpa) = 1013 × h / 760
トリチェリーの真空
水銀柱上部の真空の部分をトリチェリーの真空と呼ぶ。トリチェリーが発見した。
http://faculty.wcas.northwestern.edu/
一方の端が閉じたガラス管に水銀を満たし、水銀を満たした皿にこれを立てると、水のときの約14分の1の約76 cmの高さにしかならず、それより上の部分は真空になることを発見した。水と水銀の密度の比も約1:14であることから、空気による圧力、大気圧によって液体が押されているのだ、という結論に達した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/
水銀柱の太さはなぜ関係ないのか
トリチェニーの実験では、水銀柱の太さは関係無く水銀は7.6cmの高さとなる。なぜそのようになるのかは、パスカルの原理によって説明できる。
パスカルの原理
「密閉せれた容器の中では流体の圧力は均等に各部に伝わる」という法則がパスカルの原理である。水が入った水風船を想像してほしい。水風船内はどこの水圧も一定である。その風船に外から圧力をかけると、その圧力は分散されるのではなく、均等に各部に伝わる。つまり、1Paの圧力を外からかけると、図のように1Paの圧力が全体に伝わっていく。
ここで重要なのは、「圧力が均等」ということである。圧力とは力÷面積である。
水銀柱もパスカルの原理を基に考えれば、理解することはできる。水銀柱の太さが太くなればなるほど、重さ(下向きの力)が加わるが、面積も大きくなるので、圧力は変わらない。流体においてはどの点においても圧力は等しいので、容器の水銀表面の圧力も、水銀柱からかかる圧力に等しい。水銀柱がどれだけ太くとも(逆に容器の水銀表面積がどれほど小さかったとしても)、圧力が釣り合えばいいので、1013hpaの時に760mmの水銀柱はなりたつのである。
なぜ水銀柱をななめにしても760mmなのか
水銀柱をななめにしても760mmの高さとなることが知られている。
水銀柱をななめにすることによって、力のベクトルの向きが変わり、面積あたりにかかる力が弱まる(図のように斜めにかかる力は弱くなる)。よって、1013hpaと同じ圧力を維持するためには、より多くの水銀が必要となる。容器をななめにしたとしても、容器内の水銀の量は多くなるが、圧力は変わらないのである。
飽和蒸気圧と蒸気蒸気圧
飽和蒸気圧(蒸気圧)とは
容器内で蒸発する分子と凝縮する分子の数が等しくなった時(気液平衡)の気体の圧力を飽和蒸気圧と呼ぶ。飽和蒸気圧は、温度が一定ならば容器の体積に関わらず常に一定である。
飽和蒸気圧の測定
水銀柱の下から蒸気圧を測定したい液体を十分に入れると、液体が気体となり、気液平衡の状態となる。また、飽和蒸気圧によって水銀は下に押し出される。この時、低くなった分がその液体の飽和蒸気圧であると言える。
蒸気圧曲線とは
温度と飽和蒸気圧の関係を示した曲線を蒸気圧曲線と呼ぶ。一般に次の性質がある。
- 温度が高いほど分子運動が激しくなり蒸気圧は高くなる。
- 外圧を大きくすると沸点が高くなる。外圧を低くすると沸点が低くなる。
- 分子間力が大きい分子は蒸気圧が小さく、沸点が高い。
沸点
沸点とは沸騰が始まる時の温度である。沸騰は、飽和蒸気圧と周囲の外圧(大気圧)が等しくなった際に起こる現象である。大気圧と蒸気圧が等しくなった時に気泡が形成される。
http://www.tennoji-h.oku.ed.jp/
状態図
状態図とは
物質が固体・液体・気体のどの状態になるかは、温度と圧力に大きく左右される。温度・圧力を軸にして、物質の三態を示した図を状態図と呼ぶ。状態図には、固体・液体・気体が同時に共存する三重点が存在する。