ATX, Micro-ATX, Mini-ITXは、いずれもPCのマザーボードのフォームファクター(サイズと形状)を指し、それぞれに特徴と利点があります。以下に、これら3つのフォームファクターの違いを詳しく説明します。
1. ATX(Advanced Technology eXtended)
- サイズ:
305mm x 244mm(12インチ x 9.6インチ) - 特徴:
- 標準的なサイズで、最も一般的に使われるフォームファクター。
- 拡張スロットが豊富(通常7スロット)で、複数の拡張カードやその他のデバイスを搭載できます。
- 電源供給や冷却のためのスペースに余裕があり、大型のグラフィックスカードや高性能な冷却システムに対応可能。
- エアフローが確保しやすく、冷却面で有利。
- メリット:
- 拡張性が高く、複数のGPU(SLIやCrossFire)や追加カード、ストレージデバイスを取り付けやすい。
- 冷却効率が良好で、安定した性能を維持しやすい。
- デメリット:
- サイズが大きいため、PCケースも大型になり、設置スペースを取る。
- 価格がやや高く、持ち運びには不便。
2. Micro-ATX(mATX)
- サイズ:
244mm x 244mm(9.6インチ x 9.6インチ) - 特徴:
- ATXよりも一回り小さいサイズ。
- PCIeスロットが4スロット程度(通常)。
- 拡張性はATXに比べると少ないが、一般的なゲーミングや作業に十分対応可能。
- 冷却スペースはATXより少し狭いが、依然として良好なエアフローが期待できる。
- メリット:
- サイズが小さいため、コンパクトなケースで組み立て可能。
- 価格が比較的安価で、コストパフォーマンスが良い。
- 一部の拡張性はATXと同じように確保できる。
- デメリット:
- ATXほどの拡張スロット数やデバイス数には対応できない。
- 一部の大きなグラフィックスカードや冷却システムを搭載する際、物理的な制約が出る可能性がある。
3. Mini-ITX(小型)
- サイズ:
170mm x 170mm(6.7インチ x 6.7インチ) - 特徴:
- 最もコンパクトなマザーボードサイズ。
- 通常、PCIeスロットは1スロット(グラフィックスカードを1枚だけ搭載できる)。
- 拡張性が制限されるため、追加のカードやデバイスを搭載するのは難しい。
- ケースが非常に小型なため、スペース効率が高い。
- メリット:
- 非常にコンパクトで、省スペースのPCビルドに最適。
- 小型で軽量なため、持ち運びや設置が簡単。
- シンプルな作業やゲーミング、メディアサーバーなどには十分な性能。
- デメリット:
- 拡張性が限られているため、複数のGPUやカードを搭載することができない。
- 冷却が難しいため、発熱を抑える工夫が必要。小さなケースではエアフローが悪化することがある。
- 電源ユニットやその他のコンポーネントが小型化されているため、選択肢が限られる。
フォームファクターの選択基準
1. 拡張性とパフォーマンス
- ATXは最も拡張性が高く、高性能な構成を組みたい場合に最適。複数のGPU、サウンドカード、Wi-Fiカードなどを搭載する場合にも対応可能です。
- Micro-ATXは、少ないスペースでありながら適度な拡張性を確保でき、一般的な使用には十分な性能を提供します。
- Mini-ITXは、コンパクトで限られた拡張スロットしかありませんが、小型PCや静音、メディアPCなど、特定の用途に最適です。
2. ケースサイズ
- ATXは大型のケースに収まるので、設置スペースがある場合に選択されます。
- Micro-ATXは中型のケースに収まり、一般的なデスクトップPCに最適です。
- Mini-ITXは、非常にコンパクトなケースに収まるため、デスク上や持ち運びがしやすいPCを作りたい場合に適しています。
3. 冷却
- ATXは冷却がしやすく、大きなケース内でのエアフローを確保しやすいです。
- Micro-ATXも冷却性能は良好ですが、ケースの大きさによる制約があります。
- Mini-ITXはコンパクトさのため、冷却が難しく、特にハイエンドGPUや高負荷の作業には注意が必要です。
結論
- ATX: 高い拡張性と冷却性を重視する場合、特にゲーミングやワークステーション用途に最適。
- Micro-ATX: サイズと拡張性のバランスを取った中型ケースを希望するユーザーに最適。
- Mini-ITX: コンパクトさを重視し、限られたスペースでシンプルな構成にしたいユーザーに適しています。
どのフォームファクターを選ぶかは、使用目的や必要な拡張性、冷却性能に応じて決めると良いでしょう。